2025年6月8日
自律神経失調症ってなんだろう?
◆「自律神経失調症」ってなんだろう?
たまに耳にする「自律神経失調症」ということば、
実は医学的には正式な病名ではなく診断基準や検査項目も存在しません。
とはいえ、この言葉で表現される状態に陥り つらさを抱えている方がいることも確かです。
今回は「自律神経失調症」という言葉がどのような状態を指しているのか説明してみます。
◆ 自律神経とは?
自律神経とは、私たちの内臓を含めた体の働きを無意識に調整してくれている神経系のことです。 この自律神経には2つのタイプがあります
🟥 交感神経(こうかんしんけい)
いわば「アクセル」のような存在。 生き物が「戦う/逃げる」ときに使う戦闘モードの神経です。
・心拍数を上げる
・呼吸を浅く速くする
・筋肉に力を入れる
・消化は一時ストップ(食べてる場合じゃない!)
現代では天敵はいませんが、人間関係や仕事・家庭のストレスや
不安、恐怖、怒り、焦りなどの感情で交感神経が強く働き
力み・震え・動悸・過呼吸・食欲低下などの「自律神経症状」が出ることがあります。
🟦 副交感神経(ふくこうかんしんけい)
こちらは「ブレーキ」のような役割。 体を休めたり、リラックスさせたりする回復モードの神経です。
安心、愛情、ぬくもり、信頼などの感情とかかわり
交感神経とは逆に
・心拍や呼吸が落ち着き、
・内臓の動きが促され、
・睡眠にも入りやすくなります
このように、自律神経は環境に応じてアクセルとブレーキを使い分け体の機能を調整しています。
◆ 自律神経失調症が指し示す状態とは?
「自律神経が乱れている」と言われるとき、実際には
交感神経がずっとオンのままになっている 過覚醒状態が続いている ことが多いです
先ほどの図でいえば ずっと上の状態にとどまっているということ 。
その結果
・家に帰ってもなかなか休めない
・常に体に力が入ってる
・寝れない、寝ても疲れが取れない だるい
・食欲がわかない 気持ち悪い
といった症状につながります。
◆ 精神科の診断ではどう考える?
こうした自律神経の不調は、その人の性格や環境、脳の働きなど、背景によって異なる原因があると考えられます。
精神科では、次のような診断で説明されることが多くあります:
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適応障害:ストレスに体が過敏に反応している状態
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神経症・不安障害:心配性・几帳面さなどの性格傾向がベースにあり、不安が強く出やすい
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うつ病:脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、自律神経にも影響が及んでいる
このように、「自律神経失調症」と言われる不調の多くは、
精神科的な診断の一症状として現れていることが多いのです。
その背景を理解し、状態に合った対処をしていくことで、
少しずつ症状が軽減されていく可能性があります。
・おまけ
逆に、「起立性調節障害」と呼ばれる状態は、
交感神経がうまく“オンにならない”ことで困っている状態とも言えるかもしれません。